ソフトなフィンガーサービスが基本のアジアンエステ


ソフトなフィンガーサービスが基本のアジアンエステブログ:20150221


「ごま漬けに酢は入れんのかい?」
それは母親の認知症を決定づけた一言だった。

姉貴や妹からは、
最近母親が少しおかしいと聞いていたが、
遠く離れたわしは、あまり気にもとめていなかった。

九十九里の名産であるごま漬けは、
小指程度の小さな背黒イワシを丸ごと、
頭と内臓をひとさし指でキュッと取って、
塩水に一晩、酢水に一晩つけ…

一段ずつ、きれいに並べ、
ゆず、はりしょうが、ごま、とうがらしの輪切と順番に振り、
一段、又一段と、気の遠くなるような作業を繰り返し…

そして
しばらく置くと、
子供もお年寄りも骨ごと食べれる
イワシのごま漬けの完成となる。

母親の味はどんな有名な店のものよりもおいしく、
母親自身もそれをわかっていた。
だからわしが実家へ帰るからというと
必ず手土産にと作ってくれておいた。

いつ頃からか少し味がかわってきて…
ん?何かが違うという感じが、現実のものとなったのだ。
50年やってきた当たり前が、母親の記憶から消えた。

たばこの自動販売機に古い500円札を入れて
入らないと泣きだしそうになったり、
お札に火をつけて燃やしてしまったり、
母親の中で一体何が起きているんだろう?

パパが亡くなって七年、
独りで淋しかったんだね…ごめんね…

今はまだ、
母親の中にわし達はいるんだろうか?
わし達の笑顔は母親に届いているんだろうか?
わし達の想いは…

忘れんぼうになった母親は
「ありがと」「ありがと」とそればかり…
もういいよ。

母親のシワシワになった笑顔の中に
わし達がいつまでもいられますように…

「ありがとう」は、わし達の方だよ。